
複式簿記の父
15世紀末のイタリアで、ルカ・パチオリ(パチオロ、パチョーロとも表されます)という数学教師が、当時の数学技術をまとめたスンマ(スムマ、ズンマとも表されます)という書物を著しました。その本の中には、複式簿記についての詳細な記述があります。そして、その内容が現代の複式簿記とほぼ同じものなので、この書物を表したパチオリは、しばしば「複式簿記の父」とも言われます。
とはいえ、スンマに書かれている複式簿記に関する記述は、当時ヴェネツィアで使われていた帳簿記入の手続きを整理したものです。複式簿記の方法を使ってどのように商売を記録するのか、こと細かに解説されていますが、その方法自体は既に世間に広まっていたものでした。つまり、複式簿記はパチオリという個人が発明したものではない、ということです。
進化の歴史
このパチオリ以前に遡っても、誰か特定の人物が複式簿記の発明者だということを示すような証拠は、見つかっていません。その一方で、遥か古代エジプトの昔から、人類は様々な形で記録をつけてきました。あらゆる時代や場所で、人々はいろいろな工夫を凝らし、在庫の記録や金銭の貸し借りなどを記録してきました。複式簿記とは、そういった人間の知恵や工夫が、長い人類の歴史の中で商業の発達と共にゆっくりと進化して、生まれたものなのです。
また、近代の重工業を主体にした産業の発達は、商売の仕方、経営のやり方、帳簿のあり方に多大な変化をもたらしました。その過程で、複式簿記という記録システムは、会計という記録と報告の体系へと進化し、複式簿記自体は会計の一部となりました。ここでは、そういった複式簿記が会計へと進化するまでの歴史について、ご紹介しています。
第1回 ~ヴェルナー君、吠える~
「商売をやっていくのに、広い視野をあたえてくれるのは、複式簿記による整理だ。整理されていればいつでも全体が見渡される。細かしいことでまごまごする必要がなくなる・・・>>詳細はこちら
第2回 ~簿記の来た道(1)~
複式簿記の特徴の一つとして、一つの取引(Transaction)を二つに分けて記録する、ということがあげられます。なにせ「複式」簿記というくらいですから、これは重要です・・・>>詳細はこちら
第3回 ~簿記の来た道(2)~
11世紀初頭から、十字軍遠征の影響を受けて、イタリアで都市国家が繁栄の時を迎えます。東方に遠征する十字軍の軍勢を支える為には、莫大な資金や物資が必要となります・・・ >>詳細はこちら
第4回 ~ひろがる世界と株式会社~
15世紀、オスマン・トルコが地中海を支配下に治めたことで、ヨーロッパの国々の地中海を経由した東方との貿易ルートは打撃を受けました・・・ >>詳細はこちら
第5回 ~会計の誕生~
イギリスの東インド会社は、株式会社化したことで資金が豊富になり、組織力も強化されました。それに伴って、営業活動も大規模で複雑になりました・・・>>詳細はこちら




