
財務諸表は会社情報のかたまり
現代の会社は、従業員や経営者だけではなく、投資家、銀行、取引先、行政、消費者など、会社外部にいる多くの人々と深くかかわっています。特に、資金を提供する投資家や銀行と会社の関係は、切っても切れないものがあります。
とはいえ、外部の人々は、通常、会社の情報を知る手段を持っていません。特に、大多数の一般投資家にとって、正確な会社情報を集めるのは大変なことです。信頼できる情報がなければ、誰も大切なお金を投資しようとはしません。その結果、会社は多くの人から多額の資金を集めることができなくなります。
会社を大きくするには、多額の資金が必要です。利益を上げ続ければ資金を増やすことができますが、それだけでは時間がいくらあっても足りません。そこで、会社外部の人々に信頼できる情報を提供して、資金を集めやすくする必要があります。そのために作成される報告書が、財務諸表です。
財務諸表はいくつかの報告書をまとめた呼び方ですが、そのうちもっとも基本的な財務諸表が、損益計算書と貸借対照表です。
会社は利益を生み出すために活動します。損益計算書は、その結果である経営成績をまとめた報告書です。一方、会社が活動するには資金が必要です。そこで、どれくらいの資金がどこからきて、今どうなっているのかという財務状態をまとめた報告書を、貸借対照表といいます。
損益計算書や貸借対照表には、会社がどんなことにいくら使って、結果としてどれくらいもうけたのか、また、その会社にはどれくらいの財産や借金があるのか、といった情報がぎっしりつまっています。そして、これらを含めた一連の報告書である財務諸表は、文字通り、会社情報のかたまりなのです。
財務諸表と財務分析
財務諸表から分かる会社の成績や状態は、数字でまとめられています。しかし、ただ数字を見ただけでは、成績や状態の良し悪しは分かりません。一つ一つの数字が何を意味するのか、分析してみる必要があります。そんな時に便利なワザが、財務分析です。
財務分析は、何を知りたいかということによって、以下のように分けることができます。
1.収益性分析(Profitability analysis)
集めた資金をどれくらい効率よく運用して利益に結びつけているのか、つまり、企業の利益を生み出す力が分かります。
2.生産性分析(Productibity analysis)
収益性分析と同様に、資金運用の効率性を分析します。ただし、財務諸表にないデータも利用することで、企業の利益を生み出す力をより詳細に知ることができます。
企業の財政が順調なのか、危険なのかを知ることができます。言い換えると、会社が倒産する可能性を知ることができます。
4.成長性分析(Growth potential analysis)
売上高や総資産などを過去や市場のデータと比較することで、会社がどれくらい成長しているのかが分かります。
財務分析の使い方
財務諸表に表された数字の意味を探るために、財務分析では、それらの数字を加工して指標で表します。加工と言っても、多くの場合、簡単な割り算をするだけです(比率分析、Ratio analysis)。
例えば、収益性を分析するために利益を総資産で割ったり(→総資産利益率 ROA)、安全性を分析するために負債総額を総資産で割ったり(→負債比率 Debt ratio)します。こうして総資産に対する利益や負債の比率を見れば、その会社が資金をどれくらい上手に使っているか、あるいは、借金の金額はその会社にとって少ないのか多いのかが分かります。
といっても、絶対評価だけでは、企業の良し悪しは分かりません。過年度の業績や財務状態、または同業他社と比べてみることが大切です。そうすることによって、その会社がどのくらい伸びているのか、あるいは、どのくらい優れているのかが分かります。
このように、財務分析を使えば、企業の規模や業種・業態による違いを考慮した、比較分析が可能になります。また、単純に数字の大きさを比べるだけでは分からない、企業の規模や業種・業態による違いを考慮した、比較分析が可能になります。
*財務分析と経営分析
厳密にいえば、財務分析とは、あくまで企業の財務内容を分析する手法です。一方、財務分析にはない手法をも使って広く経営成績を分析するのが、経営分析です。よって、財務分析は経営分析の一部である、ということができます。
財務分析で使用する主な指標
A ~ D
BEP Ratio
Current Ratio (流動比率)
Debt Ratio (負債比率)
Diluted EPS (希薄化後一株当たり利益)
DSO (または ASP 売上債権回転日数)
E ~ H
EBIT
EBITDA
Earnings Per Share (EPS) (一株当たり利益)
Equity Growth Rate (資本増加率)
Gross Profit Margin (売上総利益率)
I ~ L
Inventory Turnover Ratio (棚卸資産回転日数)
Labor Productivity (労働生産性)
M ~ P
Net Income Growth Rate (純利益増加率)
Net Income Margin (当期純利益率)
P/B Ratio (PBR 株価純資産倍率)
P/E Ratio (PER 株価収益率)
Q ~ T
Quick Ratio (当座比率)
Receivables Turnover Ratio (売掛債権回転率)
ROA (総資産利益率)
ROE (株主資本利益率)
Sales Growth Rate (売上高増加率)
Total Assets Growth Rate (総資産増加率)
Total Assets Turnover Ratio (総資産回転率)
U ~ Z